研究内容

1.炭素繊維強化樹脂(CFR/PEEK)を用いた大腿骨近位部骨折用内固定材・人工関節の開発

近年金属に替わる新世代の素材として低剛性で強度に優れた炭素繊維強化樹脂(Carbon fiber reinforced polyetheretherketone; CFR/PEEK)が様々な分野で注目されています。当教室では、このCFR/PEEKに着目し、大腿骨近位部骨折用骨接合材を開発しています。また、CFR/PEEKに生物学的固着力を向上させる技術を開発し、この特性を生かした次世代の人工関節の開発を行っております。

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A:CFR/PEEK製内固定材
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B:CFR/PEEK製内固定材を臨床応用した両大腿骨転子部骨折術後単純X線像. (右)金属製内固定材。 (左)CFR/PEEK製内固定材

2.特発性大腿骨頭壊死症の疫学研究と診療ガイドライン策定

特発性大腿骨頭壊死症は、青・壮年期に好発し、進行すると股関節機能障害をきたし歩行困難となる重篤な疾患です。発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない疾患であり、国から指定難病と認定されています。当教室の菅野伸彦は、2015年より厚生労働省指定難病特発性大腿骨頭壊死症研究班の班長として、本邦の特発性大腿骨頭壊死症研究を牽引し、当該疾患の本邦の疫学研究を日本各地の班員の先生と共に明らかにしてきました。また、2019年には当研究班を中心に診療ガイドラインを発刊しました。

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A:特発性大腿骨頭壊死症のA単純X線像(左)とMRIT1強調像(右).
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B:特発性大腿骨頭壊死症の都道府県別発症率(男性)の三分位図:
(赤)上位1/3
(黄)中位1/3
(青)下位1/3
(白)返答率60%未満

3.ナビゲーション、ロボットの股関節手術への応用

人工股関節全置換術、人工股関節再置換術に加えて寛骨臼骨切り術、大腿骨骨切り術、股関節鏡手術、骨盤骨折手術にCT-based navigationを応用し、精度検証とともに改良を行っています。2018年に本邦ではじめてロボット支援システム(MAKO Total Hip)を導入し、人工股関節全置換術における精度、有用性の検証も行い、多施設研究も行っています。

写真 | ナビゲーション、ロボットの股関節手術への応用

4.人工知能の整形外科領域への応用

奈良先端科学技術大学院大学医用画像研究室(佐藤教授、大竹准教授)と共同研究のもと人工知能(AI)を用いた股関節画像の解析を行っています。これまで股関節CT画像から筋骨格、骨塩定量ファントムを自動抽出する研究などを行い発表してきました。また、国立情報学研究所主催で施行されている医療ビッグデータの解析のプロジェクトにも参加し、CTの所見文をAIで解析し、疾患ごとに分類する研究も行っています。

写真 | 人工知能の整形外科領域への応用

5.XR技術を応用した革新的外科医トレーニングシステムの構築

Extended Reality (XR:拡張現実)を応用し、外科医のトレーニングシステムの構築を行っています。手術難易度や解剖バリエーションを含み、かつリアリティーの高いシステムの構築を目指しています。奈良先端科学技術大学院大学加藤研究室と共同で行っています。

写真 | XR技術を応用した革新的外科医トレーニングシステムの構築

6.新規技術を応用したバイオメカニクス研究―全身と股関節の関係

加齢、姿勢、手術などにより変動する脊柱骨盤動態を、X線透視動画と個別骨格モデルを組合わせた2D-3Dmathing 動作解析や、モーションキャプチャーと個別骨格モデルを組合わせた4次元動作解析によって調査しています。ウエアラブルセンサーやマルチビデオデータによる動作解析を臨床応用するシステム構築を目指しています。

写真 | 新規技術を応用したバイオメカニクス研究―全身と股関節の関係

7.特殊医用画像を用いた股関節疾患病態研究

大口径MRIを用いた腸腰筋動態解析、関節造影CTやMRI放射状撮影による股関節軟骨および関節唇評価、摘出骨頭マイクロCTによる骨頭微細構造評価、股関節SPECT-CTによる骨頭血流の3次元的評価により股関節疾患のさらなる病態解析を行っています。

写真 | 特殊医用画像を用いた股関節疾患病態研究